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動詞由来の副詞的成分の「副詞度」に関する計量的研究



著者:林 雅子

価格(税込)¥4,860
サイズA5
ページ数191 ページ
発行年月2016年 1月
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商品の説明

本論文は、「動詞に由来する副詞的成分」の「副詞度」を、主として計量的方法を用いて調査・分析し、その結果に基づきながら、動詞と副詞の境界線上に位置付けられる副詞的成分の副詞らしさについて考察したものである。
 「副詞」という品詞はこれまで多くの研究がなされてきたが、「品詞論のはきだめ」といわれるように、いまだ解決していない多くの問題を抱えている。
 その一つが「副詞とは何か」についての定説がないという問題である。研究者によって定義が様々であるということが、その範囲規定の困難さを示している。
 また、副詞には動詞・形容詞・名詞など他の品詞に由来するものが多く、そのために、元の品詞の性格を残しているものから完全に副詞に成り切っているものまで連続しているので、それらの間にはっきりした線を引くことができないという問題もあり、このことも、副詞という品詞の範囲規定を難しくしている。
 本論文では、他品詞に由来するもののうち特に動詞を取り上げて考察した。従来の研究では、副詞的な度合いには色々あるとされるだけで、動詞から副詞への連続相について、その実態が調べられることはなかった。しかし、動詞由来の副詞的な成分は、動詞らしいものから副詞らしいものまで連続的であり、動詞か副詞かという二分法で分けることを目指すよりも、動詞から副詞への連続がどのような様相を示すのかを探求するのが正しい態度である。
 以上のような問題意識に立って、本論文は、現代の日本語で使用されている動詞由来の副詞的成分を対象に、それらの副詞らしさを表わす尺度として「副詞度」を考案・算出し、その連続相の実態を明らかにすることによって、動詞と副詞の境界線上に位置付けられる副詞的成分の副詞らしさについて考察した。

 本論文は、序論、3部7章から構成される本論、および、結論から成る。以下、本論の概要を記す。
 第1部では、動詞におけるテ形と連用形の使用上の差異について調査し、テ形に偏って出現する動詞と、連用形に偏って出現する動詞には、どのような特徴があるかを考察した。また、両形の差異に関する従来の研究の指摘は不十分であり、現代日本語におけるテ形と連用形の差異には、文章・文体的差異と意味・機能的差異との両方が働いていることを明らかにした。
 第2部では、副詞的成分におけるテ形と連用形の差異について調査し、テ形には状態修飾成分が非常に多くあるのに対して、連用形には全く無いことを確認した。また、テ形と連用形の副詞的成分の副詞度を測り、副詞度の大きさを基に両形の違いを見た結果、テ形の副詞的成分は、副詞度が大きいものから小さいものに広く分布しているのに対して、連用形の副詞的成分は、副詞度の大きいもののみに偏っており、副詞度の小さいものは見られなかった。状態修飾成分は副詞度が小さく、それらは辞書でも副詞と認定されておらず、副詞と見なさない研究者も多くいることを確認した。 
 第3部では、テ形の状態修飾成分と文の構造上共通する性質を持つもの(情態副詞・形容詞連用形・形容動詞連用形の状態修飾成分)の共通点を記述し、これらを別々の品詞と見做している先行研究の問題点を指摘してその説の規定に従えばこれらは全て「形容詞」となることを述べた。その上で、「名詞+デ」の一部を加えた5つ品詞に跨る「状態修飾成分」を対象に、特に様態を表わす副詞的成分に注目して、それぞれにどのような違いがあるかについて調査し、由来する品詞との用法間の関係を論じた。

 本論文で用いた「副詞度」の算定方法は、テ形・連用形以外の動詞由来の副詞的成分はもとより、形容詞・形容動詞・名詞など他の品詞に由来する副詞的成分にも同様に適用可能である。このように、「副詞度」を導入して副詞的成分を分析する本論文の研究は、これまでの副詞研究であまりなされてこなかった他品詞との境界線上に存在する副詞の研究を一歩進めることになると思われる。




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