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発行に寄せて |
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いよいよ私の全集がオンデマンド版で発行されることになった。
私の作品集は、1995年から96年にかけてジャストシステムが全5巻の「小松左京コレクション」を出してくれたものがあるだけである。
全集を、という声はよく聞いていたが、実際に私の全作品をまとめるとなると、単行本で長編だけでも15作品20冊、短編集が36冊、児童書が6冊、戯曲集が1冊、ショートショートが200編近くあって1冊。ノンフィクションも入れると100冊を越え、対談や座談会も含めた「全集」となると、120冊にはなる。これだけのボリュームを今までの「全集」という概念で引き受けてくれる出版社は、残念ながらいなかった。私も40年近くなる作家生活の成果を「まとめる」のは、無理だろうと思っていた。 しかし、20世紀のイノベーションの最たるコンピュータが、それを可能にしてくれたようである。 私の著作を管理している株式会社イオは、パソコン黎明期からコンピュータを使って私のスケジュールや作品の管理をしてきたが、いよいよ全著作をデジタル化しオンデマンドで作品を提供できる体制になった。オンデマンド出版の実用性を最初に教えてくれたのは、小松左京研究会の中西秀彦君で、京都で中西印刷を経営している。今回は富士ゼロックスのニュービジネスセンターと提携し、ドキュテックというオンデマンド印刷・製本機械を使って「本」の形で私の全作品を提供できるようになったという。こんなうれしいことはない。 さらに欲を言えば、私の企画構成したイベントの映像や、ドキュメンタリールポの映像、漫画、映画、朗読も含めた、「マルチ・メディア全集」も作ってもらいたい。こんなとんでもない「夢」も、きっと近いうちに実現してしまうことだろう。おそろしい世の中だ。 実は、自分の作品を読み直すということは、気恥ずかしくてあまりしないのだが、この機会に思い切って40年近い自分の作家人生を見直す気持ちで、読んでみようかとひそかに思っている。 |
| 小松左京 |
| 西暦2000年1月記す |