臨場感や迫力、没入感といった言葉は、近年のマルチメディアシステムにおいて、その性能を語る際のキーワードであるが、その心理的な効果を客観的に定義する方法、特に定量的に評価する方法は確立されていない。 本研究では聴覚刺激に着目し、質問紙調査による実験に加え、脳波、心拍、顔面皮膚温の測定の生理計測を行うことにより、臨場感の定量的評価を試みた。
その結果、客観的音質評価実験において、クラシック音楽では5.1ch再生は2ch再生に比べて被験者をより快状態に誘導し、ホラー映画の音では5.1ch再生は2ch再生に比べて被験者をより不快状態にしていることがわかった。
一方、ホラー映画の音と同時に映像を提示した場合には、客観的音質評価によると、5.1chではなく2chのほうが、被験者をより不快状態にする、そして主観的音質評価では音質差はみられないという他の二つの刺激とは傾向の異なった結果が得られた。
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